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思いあるヒト

沢田 けんじさん

作る楽しみ、食べる楽しみを伝える人 西洋料理研究家 沢田 けんじさん
一人でも多くの人に真っ当な食べ物、美味しい食べ物を食べる喜びを伝えたい。

 青葉区市ケ尾で料理教室「ミルハウス」を主宰する西洋料理研究家の沢田けんじさん。

 横浜市中央卸市場で新婚カップル向けの「お魚クッキング教室」で講師を務めたり、テレビの料理番組に出演したり、雑誌の料理ページの監修をしたりと多忙な日々を送っている。そんな沢田さんに『とにかくフランスに行きたい!』その気持ちがすべての始まりだったフランス留学時代の話を伺った。

「クラスで3つの班に分かれ、「調理」「サービス」「客」の役割をローテーションで体験します。調理する班は、午後3時にフランス人シェフからバリバリのフランス語で、次の日に店で出すメニューの指示を受けます。わけもわからずそれを聞き取りメモし、各自、わけもわからないメモを頼りに調べてから、班で打ち合わせします。そうこうしているうちに夕方6時からのディナーに客として行く時間になる。終わったらまた皆で打ち合わせ。わからないながらも、必死でくいついていくというか、何とか鍛えられていくんですよね(笑)」。と当時を振り返り、豪快に笑う。日々たくさんの人に料理の楽しさを伝えている沢田さんに今の思いを訊ねてみた。

「便利なダシ入りの味噌とかありますけれど、味噌にダシが入っているのが当たり前と思う人が増えるのは食文化的に問題です。それは別物なんだよ、ということを伝える仕事を僕はしていきたいです。でもね、それぞれ皆さんのライフスタイルがありますから、忙しい時は便利なものを活用し、時間がある時は丁寧に料理をする楽しみを知ってもらいたいなぁと思うんです」。

沢田さんにとって「食べる」とは?
真っ当な食べ物、美味しい食べ物を食べていられるのは幸せなことだと思います。そのためには、自分や家族のために、できる範囲でいいから、手作りの料理を作ることが大切。そして、できるだけ真っ当な食材を選ぶようにすることも大切。僕は食べることを通じて、そうしたお手伝いをしたいと思っています。

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横浜は青葉区市ケ尾で料理教室「ミルハウス」を主宰する西洋料理研究家の沢田けんじさん。教室は「定番料理の作り方/基礎」「ミルハウス/月替り」「趣味の料理講座」「西洋料理専科」の4クラス。どのクラスも、身近なスーパーで手に入る食材を使いながら、基礎料理や本場の雰囲気のする世界の料理を伝授している。

この他、横浜市中央卸市場で新婚カップル向けの「お魚クッキング教室」で講師を務めたり、テレビの料理番組に出演したり、雑誌の料理ページの監修をしたりと大忙しの沢田さん。

 幼少の頃から料理が好きで、その思いが高じて料理研究家になったのかと思いきや、意外な答えが返ってきた。「料理を意識していたわけじゃないんです。高校卒業を控え、将来を考えた時に「そうだ、フランスに行こう!」って思ったんですよね(笑)。理由は自分でもわからない、もう、ただただその気持ちだけ。じゃあ、フランスに行くには留学しかないだろうと。そこでフランスに学校があるのはどこだろうと探して、当時僕は関西に住んでいたんで、阿倍野の辻調理師専門学校に入ったんです」。 

 一年間そこで学び、翌年、念願のフランス校に行って一年間勉強をした。沢田さん曰く、フランス校は超スパルタでズタボロになりながらも、日増しに色々なことがわかってきたのだという。「最初の半年は学校で学び、後半の半年は一人でフランスのレストランに入って働くんです。もちろん給料はないですよ。でも楽しかったですねぇ。大変だったのは前半の半年です。クラスの中で3つの班に分かれるんです。そこで『調理をする』『サービスをする』『お客になる』という役割をローテーションで体験します。調理する班は、午後3時にフランス人のシェフからバリバリのフランス語で、次の日に店で出すメニューの指示を受けます。わけもわからずそれを聞き取りメモし、各自、わけもわからないメモを頼りに調べてから、班で打ち合わせをします。そうこうしているうちに夕方6時からのディナーにお客として行く時間になる。デザートまで出るから8時半までレストランで食事をする。終わったらまた皆で12時頃まで打ち合わせをするんです。半年間、これが続きます。落ち込む、落ち込まないとか言っている場合じゃないんですよ。わからないながらも、必死でくいついていくというか。でも、何とか鍛えられていくんですよね(笑)」。と当時を振り返って豪快に笑う沢田さん。

 帰国後、辻調理師専門学校で助手を経て、トータル11年もの間、先生として勤務した。その後、イタリアンカフェのシェフをしたのち上京。4年前に独立し、西洋料理研究家としてスタートをきった。

 10代の時の「フランスに行きたい」という思いから始まった“料理人”としての喜びを聞いてみた。「料理って、理科の実験と似ているんですよ。例えば、肉を加熱すると、赤身に含まれるタンパク質は、50℃あたりでミデアムレア、55℃を超えると凝固し始め、60℃くらいで凝固。それ以降は収縮し、68℃位で水分が出てしまう。野菜にもこうした作用はあります。つまり、こうしたことをすべて知った上で調理すると、食材の美味しいタイミングを計れるわけです。その上で、この野菜なら断面を見せるカットにすると可愛いんじゃないかとか、料理のコンセプトに合わせて考え、イメージし、作る。そしてそれを『キレイ! 美味しい!』って言われたら、これはもう、料理人の至福の一瞬というか、醍醐味ですよね」。

 きっと沢田さんに調理されている肉や野菜は、持ち味を活かしてもらえて嬉しいんじゃないかと想像してしまった。ところで、食の崩壊といわれる現代には、添加物の問題や一人で食事をとる孤食といわれる問題などがあるが、こうした不安要素を沢田さんはどう考えているだろうか。

 「そうですね、食品会社さんが長持ちする便利なものを作って、それを昔ながらの何とか、というネーミングをつけたりしていますよね。ダシ入りの味噌とかありますけれど、本来、ダシは鰹節や昆布からとるものですが、味噌にダシが入っているのが当たり前だと思っている人が増えると食文化的に問題です。僕は、それは別物なんだよ、ということを伝える仕事をしていきたいんです。でもね、それぞれ皆さんのライフスタイルがあるわけですから、忙しい時はこうした便利なものをうまく活用すればいいと思うし、時間がある時は丁寧に調理をする楽しみを知ってもらいたいなぁと思うんです。それと一人でとる食事の問題ですよね。自分のために気合いを入れて料理を作ろうという人は、根っからの料理好きなのでいいんですけれど、そうじゃない人は、器やランチョンマットにこだわってみるといいですよね。あえて非日常的な美しい皿に盛る、とかね。あるいは調理器具にこだわってみると、料理に対して意欲的になって楽しいですよ」。

最後に、沢田さん愛用の調理器具をいくつか見せてもらった。それがこちら。

このメジャーリング・スプーンセットは、かなり細かく分量を量れるため、必須アイテムと大絶賛。

広島の作家さんが作った焙烙。これで茶葉や大豆を焙煎すると、いい赤外線が出て、芯の方まで熱が浸透し、極上の香りと仕上がりになるのだとか。

お気に入り「ストウブ」の鍋。保温性の高さと、蒸し器の下鍋としてもサイズがぴったりで愛用中。

こちらもお気に入りの器たち。左の皿には、薄い色や白っぽい色の和菓子をふんわりと盛ってみたり。盛りつける食材との色合いを考えるのが楽しい。

西洋料理研究家・フードコーディネーター
沢田けんじさん http://www.sawakens.com/

2010/09/17

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